看護師の成長を促す心臓血管外科

大学病院などの大きな病院には、内科や外科、整形外科、小児科など、さまざまな診療科目があります。中でも心臓血管外科は、看護師にとって得るものが多い診療科目の一つです。その理由は、心臓血管外科が持つ特性による所が大きいことが言えます。通常、看護師の主な仕事は患者のケアや医師のサポートになりますが、心臓血管外科ではそれらの仕事における責任がより重くなります。一体なぜそのようなことになるかと言うと、それは医療技術の進歩が関係していることが言えるでしょう。薬物やカテーテルを使用した内科の医療技術が進歩するのに伴い、リスクの大きい外科手術は第一次選択にならなくなってきています。つまり、手術を選択するのは内科の治療では効果が薄い患者であり、必然的に難しい症例が集まりやすくなるのです。

そのため、心臓血管外科では高度な医療知識と技術を求められることになるのですが、見方を変えれば高度な医療知識と技術を得やすい環境だということでもあります。加えて、心臓と血管は全身に及ぼす影響が少なくないので、心臓血管外科での経験はたとえ他の診療科目に移ったとしても応用が利くため非常に貴重です。また、精神面の成長においても、心臓血管外科にはプラスに働く場面が多く存在します。そもそも看護師という職業自体が患者の命と健康に密接な関わりを持つため、他業種にはない重圧を強いられます。中でも特に患者の命を間近に感じざるを得ないのが、心臓血管外科なのです。仮に患者の容体が急変した場合、その緊張感は計り知れないでしょう。しかし、そういった環境に身を置くことで心は鍛えられ、ひいては患者にとって安心感のある看護師へと成長することを可能にするのです。このように、心臓血管外科は看護師にとって過酷な現場である反面、優秀な人材へと成長させてくれる場所でもあります。